【ヤクルト】データで見る優勝要因|2015年と2021年の対比から

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大激戦のペナントレースを制した東京ヤクルトスワローズ。6年ぶりの優勝は、当時を知るメンバーも多く、共通点も多かったように思いました。2015年と2021年の共通点から、優勝要因を探ってみましょう。

2015年との共通点

2015年に投手コーチだった高津臣吾が2021年の監督として2年目を迎えることに。

最も大きな共通点はリリーフ陣がチームの快進撃を支えたことである、といえるでしょう。

リリーフ出身の高津監督は特にリリーフに重点を置き、ブルペン陣の登板間隔を管理したことで強固なリリーフ陣を築きました。

投手

田口
先発にリリーフにフル回転し、数字以上の存在感があった田口麗斗投手

(画像プレビューが上手くいかないので、Twitterからの引用のかたちになります)

2015年はバーネット、2021年はマクガフと絶対的なクローザーが存在感を放ちました。

また、クローザーに繋ぐまでの投手を含めて登板数上位4名がブルペンを支えたことも共通しています。

一方で、規定投球回達成者は2015年の2名(小川、石川)に対して2021年は0名。

奥川恭伸という新星が投球回以上の存在感を放ったものの、先発投手陣の物足りなさは共通してしまいました。

2015年登板数5傑
秋吉亮:74試合
オンドルセク:72試合
ロマン:61試合
バーネット:59試合
徳山武陽:39試合
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2021年登板数5傑
清水昇:72試合
マクガフ:66試合
今野龍太:64試合
石山泰稚:58試合
坂本光士郎:36試合

こちらは、登板数上位5名の対比です。

2015年はバーネットに繋ぐまでのセットアッパーとして、秋吉・オンドルセク・ロマンの3名がフル回転の働き。

2021年も同様に、マクガフに繋ぐまでのセットアッパーとして、清水・今野・石山の3名が頑張ってくれました。

野手

村上
唯一無二の存在感でチームを鼓舞した若き4番・村上宗隆選手

2015年は優勝の立役者となった川端(首位打者)、山田(本塁打王・盗塁王)、畠山(打点王)の存在感が際立ち、クリーンナップの破壊力で勝ち上がる戦い方でした。

それに対し、2021年は圧倒的な打力を持つ村上を中心に1番から8番まで切れ目のない打線。控えを見てもシーズン代打記録にあと1と迫った川端慎吾がここぞの場面で良い働きを見せました。

2015年当時は物足りない打撃成績だった中村も、2021年には正捕手としてチームトップの打率。まさに縁の下の力持ち的な役割を果たしてくれました。

データとしてみると、中心メンバーは共通しているものの、野手の働きとしては若干異なった布陣となっている印象です。

2015年打点5傑
畠山和洋:105打点
山田哲人:100打点
雄平:60打点
川端慎吾:57打点
大引啓次:41打点

2021年打点5傑
村上宗隆:112打点
山田哲人:101打点
サンタナ:62打点
オスナ:60打点
塩見泰隆:59打点

こちらは2015年と2021年の打点上位5名の比較。

2015年は「攻撃的2番」として川端がチャンスメイクし、山田と畠山が打点をあげるという戦い方が主でした。

一方、2021年は村上という軸があるものの、1番塩見・2番青木・3番山田・オスナ・サンタナとどこからでも得点できる打線でした。

総括

マクガフ
17HP、31セーブとセットアッパーとクローザーの両役をこなしたマクガフ

リリーフ投手と強力な打線を武器に勝ち上がってきた2015年と2021年。

2015年は若い力で勝ち上がってきたのと対照的に、2021年は落ち着いた戦力で勝ち上がったように感じます。

それを象徴しているのがバーネットとマクガフの存在。

2015年のバーネットはマウンド上で感情を露わにするタイプで、見るものを熱狂するような投球でした(ベンチの選手と対立する場面も多かったが…)。

それに対し、2021年のクローザーはマクガフ。石山泰稚の不調でシーズン途中からクローザーを務めたマクガフはマウンド上で表情を崩さないポーカーフェイス。

バーネットとマクガフ、同じクローザーながら対照的な性格の2人が2015年と2021年のチームを象徴するような存在ともいえるでしょう。

オリンピックイヤーに優勝

東京五輪でMVPを獲得した山田哲人

2021年のプロ野球界の一大イベントとなった東京オリンピック。

大会MVPを獲得した山田哲人を筆頭に、ヤクルトからは村上宗隆、マクガフが大会で活躍。

奇しくも「東京」五輪の舞台となった横浜スタジアムで、「東京」ヤクルトスワローズが胴上げ。

2015年に5年目だった山田も、2021年には11年目を迎えてチームのキャプテンとしてチームをまとめ上げました。

今年の優勝はヤクルトだけでなく、2021年のプロ野球界を象徴するような、1年の集大成となったようにも思えました。

脚注

2021/11/06