セリーグ個人タイトル争いの行方。村上宗隆の打撃タイトル(首位打者、本塁打王)と清水昇の最優秀中継ぎ、新人王

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120試合制での開催となっているペナントレースも80試合超を消化し、いよいよ残り3分の1となっている。順位争い以上に加熱しているのが、各個人のタイトル争い。今回は、気になる個人タイトル争いの行方を、村上宗隆や清水昇など、スワローズ選手視線で見ていこう。

※成績は9月27日終了時点のもの

打撃タイトルは全部門で村上が絡む

ヤクルトの村上(公式フォトギャラリーより引用)
ヤクルトの村上(公式フォトギャラリーより引用)

打撃タイトルは、主要3部門(首位打者、最多本塁打、最多打点)を含むほとんどの部門で村上宗隆が絡んでいる。

首位打者争い

首位打者は佐野に約2分差の2位に村上がつけている。四球がリーグトップの59と打数が少ないため、固め打ちで打率を上げやすくなっているが、ここからの猛追に期待したい。

1 佐野恵太(De) .349 (335-117)
2 村上宗隆(ヤ) .330 (297-98)
3 宮﨑敏郎(De) .320 (328-105)
4 梶谷隆幸(De) .313 (336-105)
5 青木宣親(ヤ) .309 (265-82)

※括弧内の数字は(打数-安打)

最多本塁打(本塁打王)争い

トップを快走する岡本を5差で村上、7差で青木が追いかけている。村上は開幕当初こそ本塁打が中々でなかったものの、中盤以降に本塁打ペースが急増。9月は月間7本塁打と量産しており、ここから捲ることも十分可能だ。

村上と同様に注目すべきは青木宣親の16本塁打。38歳のベテランは、チームの精神的支柱であるとともに、打線の抽選にもなっている。過去のキャリアハイは13年前、2007年の20本塁打であり、それを上回ることが確実といった状態。進化の止まらないベテランのバットに期待だ。

1 岡本和真(巨) 23
2 大山悠輔(神) 21
3 村上宗隆(ヤ) 18
4 鈴木誠也(広) 18
5 サンズ(神) 18

8 青木宣親(ヤ) 16

最多打点

最多打点は村上がトップと9差につけている。開幕当初はチームが好調だったこともあり、岡本とトップを激しく争っていた。チームが勝てなくなると、必然的に村上の打点チャンスも減少してしまう悪循環で、離されてしまっている現状だ。

1 岡本和真(巨) 70
2 ビシエド(中) 63
3 ソト(De) 62
4 村上宗隆(ヤ) 61
5 佐野恵太(De) 58

最多安打

最多安打にも村上は絡んでいるが、勝負を避けられる主砲の宿命や待ち球傾向のプレイスタイルの影響もあり、トップとは19差と大分離されている。ここからの巻き返しは厳しいか。

1 佐野恵太(De) 117
2 宮﨑敏郎(De) 105

5 村上宗隆(ヤ) 98

その他、OPSなど

その他、打撃タイトルではないものの、OPS(出塁率+長打率)は村上宗隆が1.039、青木宣親が.995と上位2傑をヤクルト勢が独占している。

最多盗塁は、タイトル争い常連の山田哲人が今季は故障の影響であまり盗塁の機会少なく、8盗塁。成功率も.727(11-8)と走塁面においては精細を欠いている。

投手タイトルは清水、小川に注目

ヤクルトの清水(公式フォトギャラリーより引用)
ヤクルトの清水(公式フォトギャラリーより引用)

リーグワーストの防御率4.63と苦しんでいる投手陣だが、エース小川泰弘とセットアッパー清水昇が気を吐いている。

最多勝

最多勝は菅野と2差で小川泰弘がつけている。開幕から好調でノーヒットノーランも達成した小川だが、奇しくもルーキーイヤーに最多勝と新人王を争った菅野と7年ぶりのタイトル争いとなっている。2013年はチームは最下位であったが、最多勝も新人王も小川が獲得した。今季はどうなるか。

1 菅野智之(巨) 11
2 小川泰弘(ヤ) 9

最多HP(最優秀中継ぎ)

私的に最も関心が高いのが最多HP争い。清水は勝ちこそついていないが22Hはリーグトップ。チームの勝ち自体が少ない状況で、限られたホールドチャンスをモノにしている。シーズン終盤は、いかにホールドチャンスを清水に与えられるか、チーム状態の浮上に注目したい。

1 清水昇(ヤ) 22(0W22H)
2 祖父江大輔(中) 20(1W19H)
3 福敬登(中) 19(4W15H)
4 マクガフ(ヤ)他 18(3W15H)

最多セーブ

ヤクルト・スアレス(アルバート)の弟で阪神でプレイしているスアレス(ロベルト)がシーズン途中から守護神に。石山はシーズン序盤から好調であるものの、チームの低調でセーブ機会が少ないのが残念。ただ、セーブというものはチーム状態がハマれば何日も連続して稼ぐことが可能。現在はトップと4差だが、残り40試合弱での巻き返しも十分可能だ。

1 スアレス(神) 17S
2 Rマルティネス(中) 14S
3 石山泰稚(ヤ)他 13S

その他、新人王の行方

主要タイトル以外に可能性があるのが新人王。

清水は1年目に26投球回であったため、今季も新人王の資格を有している(2年目以降の投手は、前年までに通算30投球回数以内であることが受賞の条件)。清水は現在最優秀中継ぎ争いのタイトルレースを快走中で、例年であれば十分トップに該当する成績をあげている。

ただ、森下(広島。6勝)や戸郷(巨人。8勝)など、短いシーズンで10勝に到達しようとする素晴らしい成績をあげている投手が存在する。残念ながら日本野球には先発投手への評価が偏重している傾向にあり、2019年シーズンも65試合登板で28HPと抜群の成績をあげた甲斐野(ソフトバンク)が1位の高橋礼(ソフトバンク。12勝)と167票差の39票という結果だった。彼らが2桁勝利に達すれば票のほとんどが彼ら先発投手勢に流れてしまうだろう。

ただ、清水の快投にも目を見張るものがあり、多くの得票が予想される。ここでもチームの成績低調が尾を引くことになりそうなのだが、どれだけ森下と戸郷に迫れるかに注目したい。

脚注

2020/09/29

yoshi-kky