【ヤクルト】坂口智隆は2000本安打を達成できるか?NPB最後の近鉄戦士の挑戦

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2021年シーズンはオリンピックによる中断期間が明けて後半戦がはじまろうとしています。ヤクルトで注目されるのが、シーズン開幕以来に1軍に合流した坂口智隆選手。昨年1500本安打をクリアした坂口が次に見据えるのは2000本安打という偉業。過去の達成者の数字と共に達成の可能性を見ていきましょう。

NPBに唯一人残された近鉄戦士

ヤクルトの坂口智隆(公式フォトギャラリーより)

2020年シーズン終盤、「近鉄戦士」という言葉が俄に話題になりました。

近鉄戦士とは、2004年オフに球界再編により吸収合併されたことにより消滅した、大阪近鉄バファローズでプレーしていた経験のある現役選手を総称します。

2020年に現役を続けていた近鉄戦士は以下の通り。いずれもドラフトで近鉄に指名されてから合併後にオリックス、楽天とNPBでのプレーを続行していました。

  • 坂口智隆(2002年近鉄1位)
  • 岩隈久志(1999年近鉄5位)
  • 近藤一樹(2001年近鉄7位)

このうち、岩隈が2020年シーズン途中に引退を表明、近藤が独立リーグのBC香川に移籍し、2021年にNPBでプレーを続けるのは坂口のみに。

2000本安打への道

NPBにおいて野手の寿命は間違いなく上がり続けています。

かつてはほんのひと握りの大打者しか達成しえなかった2000本安打も近年は毎年のように達成者が出ており、身近な例になってきています。

坂口は2020年シーズンに1500本安打を達成しました。これはNPB史128人目の快挙であり、敵地甲子園でありながら多くの観客から祝福を受けることに。

さて、ここで注目したいのが1500の先の数字、すなわち坂口が2000本安打を達成できるのかどうか。

先日37歳の誕生日を迎えた坂口。現役をプレーできる年数は限られています。

最年長の2000本達成者

NPBにおいて2000本安打を達成した時点で年長順に並べると、以下の通りになります。

1和田一浩2015年中日42歳11か月
2福浦和也2018年ロッテ42歳9か月
3谷繁元信2013年中日42歳4か月
4宮本慎也2012年ヤクルト41歳5か月
5落合博満1995年巨人41歳4か月

坂口と同じ高卒から地道に安打数を重ね続けた福浦和也、谷繁元信の年齢別の安打数推移は以下の通り。

特に、谷繁は35歳時点で1400本安打ながらもNPB最多試合出場を更新するなど地道にヒットを重ね続けてきました。

福浦和也谷繁元信
年齢安打通算安打年齢安打通算安打
35951682351051406
36801762361001506
3745180737901596
3832183938771673
3926186539621735
4047191240751810
4120193241711881
4230196242881969
4338200043822051
440200044442095
45132108

以下は、大卒社会人出身と遅咲きながらも晩年に活躍し、2000本安打をクリアした和田一浩と宮本慎也。

特に、和田一浩は35歳時点で1000本ながら、晩年に衰えの知らない働きを見せます。

和田一浩宮本慎也
年齢安打通算安打年齢安打通算安打
351581032351451214
36157118936821296
371561345371391435
381711516381301565
391031619391381703
401451764401291832
411361900411431975
4285198542952070
4365205043632133

坂口の安打数推移

近鉄からキャリアを始めた坂口は高卒1年目からプロ初安打をマーク。

その後も最多安打のタイトルを獲得するなど、着実に安打数を積み重ねてきました。

37歳時点で1500本安打というのは厳しい数字かもしれませんが、「不屈の魂」でバットを振り続けた坂口であれば不可能な数字ではないでしょう。

年度所属球団安打通算
19大阪近鉄11
20大阪近鉄01
21オリックス12
22オリックス24
23オリックス3337
24オリックス150187
25オリックス167354
26オリックス172526
27オリックス175701
28オリックス36737
29オリックス88825
30オリックス76901
31オリックス28929
32東京ヤクルト1551084
33東京ヤクルト1551239
34東京ヤクルト1611400
35東京ヤクルト81408
36東京ヤクルト981506

坂口智隆の挑戦

坂口は2020年シーズンにキャリアハイの9本塁打を達成する一方で、シーズン終盤に大きく数字を落とし、わずかに100本安打に届かないなど課題も残しました。

2021年シーズンは開幕3戦目で自打球を足に当てて故障により2軍降格。層の厚い外野手陣もあり、なかなか1軍に上がる機会はありませんでした。

後半戦開幕の新潟で、満を持して復帰する坂口。節目の1500試合出場も同時に達成が見込まれます。

坂口はエキシビションゲームで打率4割をマークするなど、まだまだ高いバッティング技術は健在。37歳からの2000本安打も現実的な数字といえるでしょう。

坂口は熾烈極まる外野手争いに生き残り、2000本安打への挑戦権を得ることができるのか、いぶし銀バットマンの偉業への挑戦に注目していきましょう!

脚注

2021/08/13