マイナスゲーム差とは?プロ野球の順位表をわかりやすく|引き分けが多いと有利?

神宮
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9回打ち切りで引き分けが多くなった2021年のプロ野球、順位表を確認するときに「マイナスゲーム差」という言葉が聞かれることが多くなっています。

マイナスゲーム差とはなにか?そもそもゲーム差って何?わかりやすく見ていきましょう。

ゲーム差は順位をはかる目安

2021年7月4日、首位の座を激しく争う阪神と巨人で「マイナスゲーム差」で逆転するというニュースが流れました。

実際に順位が逆転されることはありませんでしたが、「マイナスゲーム差ってなんだ?」という声も多く、改めてゲーム差について見なおす機会にもなっています。

マイナスゲーム差とは何か?ゲーム差の定義から見ていきましょう。

順位試合試合勝利敗戦引分勝率ゲーム差
1阪神75442830.611
2巨人774027100.5971.5
3ヤクルト76382990.5672
4中日772838110.4249.5
5DeNA77284090.4121
6広島74254090.3851.5
参考:7月4日終了時点のセ・リーグ順位表

ゲーム差とは

ゲーム差とは、プロ野球などの順位表において上位チームと下位チームがどれだけ離れているかを示す「目安」のようなもの。

以下の数式で計算されます。要するに、5割以上なら「貯金」の数を比べて、1試合を0.5ゲーム差と計算するということですね。

貯金とは、プロ野球ファンの造語で「勝ち数が負け数を上回った数字」を意味します。借金はこの逆で「勝ち数が負け数を下回った数字」です。

ゲーム差の計算式
(上位チームの勝ち数-負け数)-(下位チームの勝ち数-負け数)

マイナスゲーム差は何故起こる?

ここまでにゲーム差の概念について解説しましたが、必ずしも「貯金」が多い数が上位に来るとは限らないのです。

それは、セリーグの順位規定が「勝率」の順番であるからです。勝率の計算式は以下に定義されています。

勝率の計算式
勝率=勝ち数/(勝ち数+負け数) あるいは 勝率=勝ち数/(試合数-引き分け数)

ここで重要なのは、勝率の計算式で引き分け数を分母から除外しているということです。

割合の計算というのは分母が小さいほど大きくなりますから、引き分け数が多い方が勝率が高くなる傾向があるんですね。

このため、「貯金の数では上回っているのに、勝率で回っている」という現象が起こり、マイナスゲーム差が生じるのです。

マイナスゲーム差の例

上に1.5ゲーム差の順位表を記しましたが、仮に巨人の勝ちを1つ増やして負けを1つ減らしたら以下の結果になります。

この場合、勝率が高い巨人が順位が上になりますが、貯金数が阪神の方が1多いため、マイナスゲーム差という事象が発生しています。

引き分け数を見ると、巨人の方が10引き分け、阪神が3引き分けで引き分けが多い巨人の方が有利に見えますね。

順位試合試合勝利敗戦引分勝率貯金数ゲーム差
1巨人774126100.611915
2阪神75442830.611116-0.5
順位表if:2021年7月4日の順位表を少しいじったもの

実際に起こったケースを例にすると、以下は6月14日のセリーグ5位と6位です。

貯金(借金)は広島の方が1有利であるものの、勝率の関係でDeNAの方が順位が上、やはりマイナスゲーム差が発生しています。

ちなみに、勝率が5割を切っているケースだと分母は小さい方が有利なので、引き分けが少ないほうが有利になります。

順位試合試合勝利敗戦引分勝率貯金数ゲーム差
5DeNA65213590.3750-14
6広島57183180.3673-13-0.5
2021年6月14日セリーグの順位表

順位の規定

順位の規定はリーグに異なります。

勝率順位に順位を決めるというのはセ・パで共通していますが、勝率が並んだ場合の規定が両リーグで異なります。

セリーグの場合は「勝ち数が多い方」、パリーグの場合は「対戦成績の勝率が高い方」が順位が上と規定しています。

また、2001年には「勝率」という概念を廃して単純にゲーム差で順位を決める(勝ち数が多いほうが順位が上)という制度がありました。

この制度が影響して、2001年のセリーグはヤクルトがずっと勝率で1位だったのに優勝マジックが点灯するのが遅くなるという現象も。

年によって順位が変わってしまうのも、なんだか面白いですね。

ゲーム差を理解してプロ野球を楽しもう!

ゲーム差について見ていきました。

マイナスゲーム差というのは数字のマジックのようなものです。

引き分けが多い方が(勝率5割以上の場合)有利になるので、「勝ちに等しい引き分け」なんていうのも数字上でいえてるかもしれませんね。

いうまでもなく、ペナントレースはシーズンが終わったときに1位になっているチームが優勝するものです。

目の前の順位を気にしてハラハラするのも楽しいですが、最後に笑っていられるように応援を続けましょう!

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脚注

2021/07/05