10月3日、明治神宮野球場で行われた広島戦で、乱闘シーンがあった。一部始終と、私なりの所感をまとめてみた。
コロナ禍による乱闘騒ぎ
試合は13点ビハインドの8回裏一死一塁で打席に青木宣親という場面。広島の2番手菊池保則が投じた3球目が引っ掛かり、青木のふくらはぎへの死球となってしまう。
足元への死球であり、当然危険球ということにはならないのだが、当たり所が悪かった。青木はベンチに退いて代走を送られることになる。
この間、一塁走塁コーチの森岡良介コーチが広島ベンチに向かって激しい剣幕で詰め寄った。これに続いて高津監督ら選手らも三塁ベンチに向かっていき、グラウンドは騒然となる。
村上宗隆らが回りの選手をなだめ、騒動はすぐに鎮静化し、「警告試合」が宣告された。コロナ禍で「密」を避けることが推奨されている今年のプロ野球で、異例の騒動となってしまった。
両軍が入り乱れて口論に。森岡コーチが三塁ベンチに向かって何か言ってたので、何か変な野次があったと思われる。直前に青木への死球があったが、それ自体は乱闘になるようなプレーではないと思う pic.twitter.com/XHLIYSG5p5
— ツバメinfo2 (@tsubame_info_2) October 3, 2020
原因は「広島ベンチの野次」?
一部報道によると、森岡コーチが怒ったのは「広島ベンチからの野次」によるものとのこと。
広島ベンチから「(死球を)もう一発!」と声があがり、それに森岡コーチが反応したようだ。確かに、テレビ映像を見返すと「もう一発ってなんだ!」と声を荒げている様子が伺える。
13点ビハインドという状況の中で、森岡コーチだけでなくベンチ全体がピリピリしていた。その中でこの野次を浴びせられては、黙っていられないのも無理はないだろう。森岡コーチからすると、選手を守るための当然の行為だったように思う。
日刊スポーツ:ヤクルトと広島が一触即発で警告試合 青木死球後に https://news.yahoo.co.jp/articles/bbfa692d726ad6b9663c5e91085a6e819abae7fa
観客の野次だった可能性?
さて、ここからは報道で出ていない私の憶測の話なので、それを念頭に読んでほしい。
当日のグラウンド環境を振り返ってみよう。試合当日は土曜日ナイター。15,000人の観客が入り、球場は観客の熱気で包まれた。「大声を出す応援は禁止」とルールがあっても、テレビカメラにも聞こえるような野次は多く確認されている。むしろ、ほとんどの観客が「大声を出さない応援」を遵守しているからこそ、心無い野次がより目立ってしまうという現状になっている。
Twitterで下記の発言をしたところ、ヤクルトファンに限らず多くの野球ファンから反響があった。
乱闘の原因は、広島ベンチが「もう一発!」と野次を送ったとの報道。これは僕の個人的な憶測なんですが、観客が野次ったのを森岡コーチが聞き間違えたってことはないのかなあ。常識的にプロ野球で戦ってるような選手や首脳陣がそんな野次飛ばさないでしょう
— ツバメinfo2 (@tsubame_info_2) October 3, 2020
森岡コーチが担当していたのは一塁ベース付近、広島ベンチからそれなりに距離がある場所だ。一方で、神宮の三塁内野席は、三塁ベンチの丁度うえに位置しており、森岡コーチからしてみればそれほど変わらない距離である。
そんな中で、三塁側内野席から上記の「もう一発!」と声が飛べば、声の識別は簡単ではないか(実際に距離を体感したことがないので、経験ベースでは断言できないが)。
広島ベンチからの野次、という確証もないので、観客の野次が騒ぎの発端となる可能性も、多少はあったのではないか、というのが私なりの感想。
野次の正当性とマナー遵守
野球に野次はつきものである。激しい戦いで興奮すれば、人道に外れた野次のひとつやふたつも出てきてしまう。また、それに応酬してしまうのも、人情というものだ。
今回のような騒動が起こってしまった以上、広島ベンチに限らず、プロ野球選手には野次の是非を考えてほしい。また、球場に来ている観客も、人に向かって投げかけられる野次が、どれほど攻撃的であるかを再認識するべきではないか。
犯人捜しをしろ、というわけではないが、これだけの騒動になり、改めて野次の攻撃力というか、怖さを考える機会になってくれれば。
脚注
2020/10/03
yoshi-kky